日本銀行金融研究所アーカイブ

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『震災後の日誌』全3冊の表紙です。

『震災後之日誌』(一、二、三)
大正13(1924)〜14(1925)年(検索番号:190、191、192)

 大正12(1923)年9月1日(土)午前11時58分、関東大震災が発生し、日本銀行本店も類焼、被災しました。しかし、翌営業日から業務を再開し、支店とも連携しながら臨機応変に対応し、9月11日(火)には日本銀行としての対応方針を副総裁談話として発表しました。このような対応もあり、9月中旬には多くの東京市内の銀行が営業を再開し、混乱も徐々に収束していきました。
 日本銀行アーカイブが所蔵する「震災後之日誌」は、震災後の窓口業務の経緯を記録するため、営業局が作成した業務日誌です。日誌は震災直後から約一年間、作成されました。同日誌を含め、アーカイブ所蔵の関東大震災関連資料から、被災直後の日本銀行本店の様子や業務の状況をうかがい知ることができます。
 以下、被災直後の日本銀行の対応と関連するアーカイブ資料を、「被災の様子」、「他店との連携」、「業務の継続」のカテゴリー別、および時系列表でご紹介します。



  • 震災発生後1ヵ月の動き

日付 事項 関連資料
9月1日(土)
  • 午前11時58分、地震発生。直後より東京市内各所で火災発生。
  • 日本銀行本店の建物は倒壊を免れ、夕刻業務を終了。
@
9月2日(日)
  • 前夜からの延焼により、日本銀行本店は本館のドームや一部フロア、分館の大部分を焼失。
(「写真」>「関東大震災で被災した日本銀行本店」へ)
  • 井上準之助(日本銀行総裁)が大蔵大臣に就任。
  • 東京市および周辺の5郡に戒厳令施行。
A B
9月3日(月)
  • 本店、表玄関で営業開始(預金の払い戻し等)。
  • 本店、諸達・諸規程および用紙類の送付を福島・名古屋・大阪支店に電信で依頼。また各支店に対し、臨機応変に対応するよう指示。
F
9月4日(火)
  • 本店、臨時の引換事務室を設置し、損傷銀行券の引換えを再開。
  • 福島支店より支援の行員が本店に到着。
G
9月5日(水)
  • 市来乙彦(元大蔵大臣)が日本銀行総裁に就任。
  • 大阪・金沢・新潟支店より支援の行員が本店に到着。
9月6日(木)
  • 本店より大阪支店に対し、金融機関への資金繰りを適宜支援するよう指示。
H
9月7日(金)
  • 政府が緊急勅令第404号(いわゆる支払猶予令)を公布・施行。これを受け、日本銀行による銀行への特別融通を開始。
  • 福島支店より規程類が本店に到着。
I
9月8日(土)
  • 大阪支店が本店に代わり、各支店に対し本店の被災状況を報告。
  • 福島支店より、米125俵・食料品・用紙を本店に発送したとの電信あり。
C D E
9月10日(月)
  • 本店、大阪・名古屋支店宛ての郵便物を陸軍飛行機に託送。
9月11日(火)
  • 木村副総裁の声明「災害に対する日本銀行の覚悟」を発表。
J
9月27日(木)
  • 政府が勅令第424号(いわゆる震災手形割引損失補償令)を公布・施行(翌日より割引開始)。
K L
9月30日(日)
  • 支払猶予令撤廃(施行期間満了)。
上記「関連資料」のほか、「震災後之日誌」(一)(検索番号190)、『日本銀行百年史』第三巻より作成。