アーカイブ資料にみる日本銀行の災害対応
日本銀行は、これまで国内を襲ったいくつもの災害において、被災後速やかに業務を再開したり、被災した民間金融機関の営業再開をサポートしたり、銀行券の引換えを行ってきました。この際、本支店が臨機応変に連携しながら対応を進めていました。
ここでは、大規模災害が発生した直後に、日本銀行がどのような対応を行ってきたかについて、金融研究所アーカイブの保有資料を中心にご紹介します。
大正12(1923)年9月1日(土)午前11時58分、関東大震災が発生し 、日本銀行本店も類焼、被災しました。しかし翌月曜日には営業を開始し、また、4日(火)からは臨時事務室を設置して焼損した貨幣・紙幣の引換え請求に応じるなど、非常事態でも1日も休業することなく中央銀行としての責務を果たしました。
昭和34(1959)年9月26日(土)、超大型の台風15号(伊勢湾台風)が紀伊半島に上陸、その後愛知県、三重県を中心に猛威をふるい、各地に甚大な被害をもたらしました。日本銀行名古屋支店も被災しましたが、翌日曜日に店内外の清掃整備や金庫の内部を点検するなどして、月曜日から滞りなく業務を継続しました。また、災害発生直後から管轄地域の被災状況や社会情勢の把握に努めるとともに、特に被害の深刻な地域には行員を派遣し、損傷銀行券の引換事務を行うなど、臨時的対応にも注力しました。災害発生から約1か月後には、今次経験を今後の災害対応に生かすため、本店総務部から本店各部局および各支店に対して今後の要望や検討事項のとりまとめが依頼され、翌年2月にはそれらの結果が行内で共有されました。