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トップページデジタルアーカイブトピック日本銀行の災害対応関東大震災3業務の継続

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3 業務の継続

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F

震災により地方との交通・通信が一時困難を極めたため、本店のみならず各支店も大きな影響を受けました。本店の秘書役から各支店長宛に「本店半焼混雑且通信困難に付営業予算其他一切臨機の処置を取られたし」と打電し、本店とは通信困難のため各支店はそれぞれ臨機の処置をとるようにと指示を出しています。

本店秘書役から各支店長宛の通知です。

本店秘書役から各支店長宛通知
大正12(1923)年9月3日
(検索番号70542『震災後重要書類
(付参考資料)』)

G

審査部が作成した震災後10月9日までの損傷銀行券の引換高の累計などの記録です。日本銀行は震災後、9月4日に臨時の引換事務室を設置し、震災で損傷した銀行券の引換請求に応じました。

銀行券の引換等に関する記録です。

銀行券の引換え
大正12(1923)年10月10日
(検索番号70543『審査部情報』)

H

金融機関の窮状報告とその救済についての指示を仰ぐ大阪支店長から総裁宛の電信への返答です。緊急時のため、成規外でも「相当の価値がある質草や確実な保証」があり、「本行に損失の虞なし」と認められる場合は、金融機関を援助する方針を採ると通知しています。

本店審査部長から大阪支店長宛の通知です。

本店審査部長から大阪支店長宛通知
大正12(1923)年9月6日
(検索番号70542『震災後重要書類
(付参考資料)』)

I

9月7日、政府は震災地に対し、債務の支払いを30日間延期する緊急勅令第404号(支払猶予令)を公布施行しました。これを受けて日本銀行は、銀行への特別融通を開始しました。同令は、支払猶予期間終了の同年9月末をもって撤廃されました。

緊急勅令第404号(支払猶予令)の写しです。

緊急勅令第404号(支払猶予令)
大正12(1923)年9月7日
(検索番号1655『緊急勅命等に関する資料』)

J

9月11日、木村副総裁の声明として震災に対する日本銀行の方針(覚悟)が発表され、翌12日、各新聞で報道されました。声明では、被災した金融機関を速やかに復興させ「金融界の安定」を保ち、「一般財界回復の機運を促進」させるため、日本銀行は「臨機最善の手段方法」により資金融通などの必要な措置を講じていくことを述べています。

審査部から各支店長宛ての通知です。

震災に対する日本銀行の覚悟
大正12(1923)年9月11日
(検索番号3767『震災後重要回議』)

K

9月27日、政府は勅令第424号(震災手形割引損失補償令)を公布施行しました。これは、震災のため決済が困難になった手形を日本銀行が再割引(特別融通)し、さらにその損失分を政府が補償するというものでした。震災手形に対する日本銀行の融通期限は、当初は2年後とされていましたが、その後2度にわたって延長されました。

勅令第424号(震災手形割引損失補償令)の写しです。

勅令第424号(震災手形割引損失補償令)
大正12(1923)年9月27日
(検索番号70546『震災手形関係資料』)

L

関東大震災から1ヶ月を経た10月6日、大阪銀行集会所において大阪支店長(理事)である浜岡五雄が、大阪の金融機関の関係者にむけて述べたものです。
日本銀行は、9月27日付の勅令第424号(震災手形割引損失補償令)の運用を円滑ならしめるとともに、広く日本銀行の取引先以外の銀行に対しても取引関係を開放し、勅令第424号による手形の再割引と普通取引に関する機宜に応じた融通を実施する方針を示しました。

震災手形に関する大阪支店長の講演です。

震災手形に関する大阪支店長講演
大正12(1923)年10月6日
(検索番号7534『震災手形金額に対する書類』)