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No.4 資料を永く残すために(収蔵庫編)

Currency Museum, Bank of Japan 2021.10

皆さんが見ている博物館の「展示室」を「表」の顔とすると、資料を大切にしまっている部屋「収蔵庫」が「裏」の顔といえるかもしれません。「収蔵庫」には、数多くの、そしてさまざまな種類・状態の資料が保存されており、温湿度の変化や害虫・カビの有無などに注意しています。安全に資料を保存する「収蔵庫」は博物館にとって最も大切な場所です。

展示室と変わらない保存の基本

資料を永く残すためには、「収蔵庫」においても、展示室で行っていた①温湿度、②害虫・カビ、③空気環境、④光の4つのリスクを適切に管理していくことが大切です。 「収蔵庫」には、長い年月を経た資料が多く保存されています。なかには、汚れたり、傷んだりした資料もあります。さらに傷むことがないよう、4つのリスクを管理して資料の状態を維持することが「収蔵庫」の最も大切な役割です。

収蔵庫の「キレイ」を保つ水際対策!

まず、大切なことは、収蔵庫の中を常に「キレイ」=清潔な状態に保つことです。皆さんが見学する展示室は、土足で歩きますが、収蔵庫に入る前には、外を歩いてきた靴を脱ぎ、収蔵庫用のスリッパに履き替えます。出入り口には粘着マットを敷いています。みなさんも建物の出入り口に靴底の汚れを落とす敷物を見たことがあるのではないでしょうか。収蔵庫に入る際、粘着マットでスリッパの裏の汚れをしっかり取って収蔵庫に入ります。
大切な収蔵庫の手前には、外の扉と収蔵庫の間に「前室」という小さな部屋があります。この部屋を通って、さらに収蔵庫の扉を開けて中に入ります。つまり、入るまでに2つの扉があり、交互に開けることで外気を収蔵庫内に直接入れずに、扉を開閉できるのです。また、収蔵庫に持ち込む資料などの汚れの有無も、この部屋で最終確認し、水際対策をしています。「前室」は、小さな部屋ですが、とても重要な役割を担っています。

出入り口の粘着マットと害虫捕獲用トラップ
出入り口の粘着マットと害虫捕獲用トラップ
スリッパをスポンジで手洗いしている写真
スリッパも時々キレイに洗濯!

カビや埃(ほこり)は、ないかな?

収蔵庫内には、気を付けていても害虫やカビの餌となる塵(ちり)や埃が溜まっていきます。そのため、定期的に「清掃」をすることがとても重要です。収蔵庫は、職員が定期的に清掃しています。基本的に家の掃除と同様、埃を高いところから床に落とし、部屋の奥から手前側にゴミを掃き、拭き掃除をし、掃除機をかけます。棚の上や側面も忘れずに「キレイ」にします。
本来、カビや細かな埃はどこにでも存在していますが、私たちの目には見えません。そこで、専門の業者に収蔵庫内の空気環境を調べてもらい、問題があれば対策を講じています。

収蔵庫の埃おとしの写真
収蔵庫の埃おとし
空中にあるカビや埃を調査している写真
空中にあるカビや埃を調査

#おうちで職場体験

No.1 博物館ってどんなところ?
No.2 資料を永く残すために(展示室編①)
No.3 資料を永く残すために(展示室編②)