カヘイハクでまなぶ #おうちで職場体験 貨幣博物館のおしごと
No.2 資料を永く残すために(展示室編①)
Currency Museum, Bank of Japan 2020.8
皆さんは博物館に来たときに、「寒いなぁ」と感じたり、「なぜ飲食が出来ないのだろう」と思ったりしたことがありませんか?実はこれらは、資料を守るために大切なことなのです。博物館で所蔵している昔の資料をできるだけ良い状態で、永く後の時代に伝えていくこと(=保存)は、博物館にとって重要な仕事です。今回は展示室で資料を守る「ウラ<裏>」側の仕事をご紹介します。
資料の「展示」と「保存」の関係は?
展示室にはたくさんの資料が展示されています。資料を永く残すためには、大切にしまっておく部屋(収蔵庫)から出さないことが最も良い方法です。しかし、資料を収蔵庫に入れたままでは、皆さんに見ていただく機会が無くなってしまいます。そこで、資料が傷む原因を少なくしながら、資料をご覧いただけるように展示室の環境を整えています。資料を傷めてしまう主な原因として、次のことが挙げられます。
- 温度・湿度の急激な変化
- 虫やカビの侵入・発生
- 資料に有害な化学物質の発生・付着
- 強い光があたること など
今回は、貨幣博物館が展示室で取り組んでいる 1.温度・湿度の調整、 2.虫・カビの予防 に関する仕事について、ご紹介します。
展示室はいつもひんやり・・・なぜ?
貨幣博物館では展示室の入口に「資料保護のため、展示室内の温湿度を一定に保っています。」と表示しています。「人」にとっては季節により「少し寒い」と感じるかもしれませんが、「資料」にとって適切な温度や湿度で、1年を通じて一定になるように調整しているのです。
温度や湿度が大きく変化すると、結露(けつろ)によるカビの発生や乾燥により資料に含まれる水分が急激に失われるなど、資料を傷める可能性が高まります。そこで展示室や展示ケース内の温度・湿度に変化がないか、毎日チェックをしています。
展示室にある温湿度計、みたことがあるかな?
博物館の中はどうして飲食禁止なの?
博物館の資料を守るためには、資料を食べる虫や資料を分解してしまうカビに注意する必要があります。カビが増えるとカビをエサにする虫や、その虫をエサにする虫も増えてしまいます。そのため、虫のエサや住み処となるゴミや埃を掃除し、発生を防ぎます。また虫の生息状態を調べることも重要な仕事です。博物館では虫を捕らえるトラップを設置して、月に1~2回、虫の種類や数を確認します。虫が多く捕まった場合は、原因を考え、清掃をより丁寧に行うなど、資料にとって望ましい環境を維持するよう努めています。
パンくず1片、飲み物1滴が、虫やカビのエサ・栄養となってしまいます。そのため、博物館の中を飲食禁止としているのです。
トラップにかかった虫を顕微鏡(けんびきょう)でチェック!
#おうちで職場体験
No.1 博物館ってどんなところ?
No.3 資料を永く残すために(展示室編②)
No.4 資料を永く残すために(収蔵庫編)