金融研究 第23巻別冊第2号 (2004年11月発行)

ヒストリカル法によるバリュー・アット・リスクの計測:市場価格変動の非定常性への実務的対応

安藤美孝

 バリュー・アット・リスク(以下、VaR)は、金融機関のリスク管理における、標準的なリスク指標である。VaRの算出には、リスク・ファクターの収益率分布に正規性を仮定することが多いが、分布の裾の厚さを捉えることは難しい。このため、近年では、経験分布を用いることで、収益率分布の裾の厚さを表現できる、ヒストリカル法に注目が集まっている。ただし、ヒストリカル法には、リスク・ファクターの直近の変動を捉えにくいという問題点が存在する。そこで、リスク・ファクターの直近の変動をよりうまく表現するための、改良手法がいくつか提案されている。
 本稿では、ヒストリカル法およびいくつかの改良手法を解説するとともに、数値分析を通じて各手法の比較を行い、リスク管理実務において望ましいVaR算出手法を検討する。

キーワード:VaR算出手法、ヒストリカル法、標本分位点、ハレル=デービス推定量、GARCHモデル


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