金融研究 第27巻別冊第2号 (2008年11月発行)

金融市場におけるショックの伝播:理論モデルのサーベイ

藤原茂章

 サブプライム問題に端を発した国際金融市場の混乱においては、証券化商品市場全般への拡大波及のみならず、多様な金融資産の同時的な価格下落が世界規模で発生した。本稿では、金融市場におけるショックの伝播(コンテイジョン)現象一般に対して理論的な説明を試みた研究を紹介する。ショックの伝播と増幅メカニズムとして、ポートフォリオのリアロケーション、投資家の運用・借入などの制約、リスク回避度の変動、情報の非対称性・不完全性、金融機関間の債権・債務のつながり、投資家の情報収集や処理能力の限界、投資家の同質化などに注目した理論モデルが考案されている。

キーワード:サブプライム問題、コンテイジョン、ポートフォリオ・リバランス、リスク回避度、レバレッジ、運用・借入制約、情報の非対称性


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