金融研究 第20巻別冊第2号 (2001年12月発行)

リスク指標の性質に関する理論的整理
—VaRと期待ショートフォールの比較分析—

山井 康浩、吉羽 要直

 本稿では、既存研究でリスク指標が満たしていることが望ましいとされている性質を4つ挙げたうえで、バリュー・アット・リスク(VaR)と期待ショートフォールがこれらを満たすかどうかを検討する。ここでは、こうした性質として、(1)劣加法性、(2)凸性、(3)期待効用最大化原理との整合性、(4)テイル・リスクの排除、の4つを挙げ、それぞれを説明する。この際、期待効用最大化原理との整合性とテイル・リスクの2つの性質を考察するために、確率優越の考え方を用いる。
 次に、具体的にVaRと期待ショートフォールがこれらの性質を満たす条件を考察する。期待ショートフォールは、VaRよりも幅広い条件下でこれらの性質を満たす。しかし、期待ショートフォールにもこれらの性質を満たさない場合が存在する。したがって、VaRや期待ショートフォールをリスクの計測や管理に利用する際には、こうしたリスク指標としての特徴を十分に踏まえる必要があろう。

キーワード:バリュー・アット・リスク、期待ショートフォール、確率優越、期待効用最大化、劣加法性、テイル・リスク


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2001 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム