金融研究 第20巻別冊第1号 (2001年4月発行)

順序プロビット・モデルのテストと社債格付データへの応用

小林正人

 本稿では、3つのカテゴリーを持つ順序プロビット・モデルが多項プロビット・モデルの極限として表現されることを示し、前者を後者に対して検定するために、ラグランジュ乗数検定統計量を修正した新しい統計量を提示する。この検定統計量は、モンテカルロ実験により一定の条件のもとでは十分な検出力を持つことが確かめられる。社債格付にこの統計量を応用した場合、順序プロビット・モデルの多項プロビット・モデルに対する検定は、格付付与がすべての格付ランクに対して一律の基準で行われているか否かを確かめることと同じ意味を持つ。このため、ここで提案された新しい統計量は、格付分析に新しいツールを提供するものとして、実務上の有用性が高いと考えられる。

キーワード:社債格付、順序プロビット・モデル、多項プロビット・モデル、ラグランジュ乗数検定


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