金融研究 第38巻第1号 (2019年1月発行)

ストレステストに用いるストレスシナリオの定量的評価手法

吉川健一

本稿では、2007~08年のグローバル金融危機を経て注目が集まっているストレステストについて、ストレスシナリオのストレスの度合いを定量的に評価する手法を提案する。具体的には、与えられたストレスシナリオに対して、経済・金融環境がストレス状態にあり、かつ、いくつかのマクロ経済指標がシナリオで想定された水準を上回る確率としてストレスシナリオ確率を定義し、ストレスの度合いを表す指標として用いる。各国の中央銀行、および金融監督当局が公表しているマクロ・ストレステストのシナリオを対象に、ストレスシナリオ確率を算出して検証した結果、各シナリオのストレス度合いは、中央銀行・金融監督当局が定性的に想定している度合いと整合的であることが確認された。ここで提案したストレスシナリオ確率は、各金融機関で経営戦略に即したストレスシナリオを設定する際にも、そのストレスの度合いを定量的に評価する手法として有効活用できると考えられる。

キーワード:リスク管理、ストレステスト、ストレスシナリオ


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