Realized Volatility(RV)は日中に高頻度で観測されたリターンの2乗値の和として計算され、ボラティリティの推定値として近年注目を集めている。RVに関する研究は欧米を中心に数多く行われているが、日本のデータによる実証分析は今のところ少ない。本稿では、RVに関する研究について各種理論モデルや実証分析のサーベイを行うとともに、日本の株価指数および株価指数先物データによる実証分析を行うことで、欧米市場データを用いた先行研究との比較を試みた。その結果、RVは将来のボラティリティを予測するうえで有益な情報を有していること、RVには長期記憶性が存在していること、高頻度データでみてもリターンの分布の裾が厚く、ジャンプ拡散過程などを前提としたボラティリティ推定が必要なこと、ボラティリティの変動には価格の変化方向に関して非対称性が存在していることなどが判明した。こうした実証結果は、欧米の先行研究と概ね一致するものであった。
キーワード:高頻度データ、Realized Volatility、長期記憶性、ジャンプ拡散過程
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