金融研究 第21巻別冊第2号 (2002年10月発行)

市場ストレス時におけるバリュー・アット・リスクと期待ショートフォールの比較:
多変量極値分布のもとでの比較分析

山井康浩、吉羽要直

 この研究では、市場にストレスが発生しているときの2つのリスク指標――バリュー・アット・リスク(VaR)と期待ショートフォール――の比較分析を行う。ここでは、多変量極値分布により市場ストレスが表現し得るとの前提に立ち、多変量極値分布のもとでVaRと期待ショートフォールがどのような性質を持つかをシミュレーションと実証分析によって検討する。その結果、以下の諸点がわかった。(1)裾が厚く大幅な損失の発生する可能性の高い証券であっても、VaRや期待ショートフォールではリスクが小さいと判断される場合がある。(2)異なる種類のコピュラで表される依存関係の相違は、VaRや期待ショートフォールでは適切に捉えられない場合がある。

キーワード:バリュー・アット・リスク、期待ショートフォール、テイル・リスク、市場ストレス、多変量極値理論


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