ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2010-J-25

ワークショップ「国際財務報告基準(IFRS)と企業行動:IFRSアドプションのインパクト」の模様

 日本銀行金融研究所では、会計に関する研究の一環として、2010年7月2日、「国際財務報告基準(IFRS)と企業行動:IFRSアドプションのインパクト」をテーマにワークショップ(座長:徳賀芳弘・京都大学教授)を開催した。
 2009年6月、金融庁の企業会計審議会から「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」が公表され、2012年にわが国におけるIFRSアドプションの是非を決定し、アドプションするとした場合には、2015年または2016年からとするという方向性が示された。こうした状況を踏まえると、(1)今後IFRSをめぐる議論に対してわが国が意見発信する際に留意すべきことは何か、そうした主張をするに当たって会計理論はどのような役割を果たすのか、(2)IFRS導入のための制度対応として何が求められるか、などを考察することは有益であろう。そうした考察を行うに当たっては、IFRSが総体として企業行動にどのような影響を与えるか、あるいはよりマクロ的に、企業の国際競争力にどのような影響を及ぼし得るかなどについても踏まえることが重要であると考えられる。本ワークショップは、こうした問題意識から、IFRSの各基準に共通する特徴や主要な基準によって、財務報告の各利害関係者が直接的にどのような影響を受け、それが中長期的に企業行動やわが国企業の国際競争力等にどのような影響を及ぼし得るかを多角的に議論することを目的に開催された。このような議論を通じ、上記(1)、(2)のような問題を考察する際の示唆を得ることができるのではないかと考えられる。
 本稿では、本ワークショップにおける開会挨拶、導入報告、報告、コメント、全体討論および座長総括コメントの概要を紹介する。

キーワード:IFRS、IFRSのアドプションの影響、企業行動、連単分離、原則主義、ストック重視


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