ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2010-J-10

デフォルト率と回収率の負の相関を考慮した担保付貸出の損失評価:CIR型ハザード率過程での解析的評価

山下智志、吉羽要直

 本稿では、ハザード率と担保価値との間に負の相関がある場合を想定して、担保付貸出の期待損失を解析的に評価する。具体的には、ハザード率には非負性を保つCox-Ingersoll-Ross型の平方根過程を想定し、担保価値の瞬間的な収益率はハザード率と負の相関を持つと想定する。この設定のもとで、担保付貸出の期待損失の被積分項はDuffie, Pan, and Singelton [2000]で示された拡張アフィン形式に帰着し、解析解が得られることを示す。また、得られた解析解から、担保による期待回収額は、相関の影響を考慮した生存確率を測度として期待担保価値を満期まで1階積分することで評価されることを示す。

キーワード:デフォルト確率、回収率、拡張アフィン、期待損失、測度変換


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