金融研究 第33巻第3号 (2014年7月発行)

地域別データを用いた通貨需要関数の推計:アップデートと追加的発見

藤木 裕

本稿では、Fujiki and Mulligan [1996a] の構造モデルを用いて、1955~2009 年度の県別預金統計・県民経済計算統計から通貨需要の所得弾力性を推計し、Fujiki and Mulligan [1996b] が1955~90 年度のデータから得たM2 類似預金の所得弾力性が1.2~1.4 との推計結果をアップデートした。分析によると、1980年代のデータから得た所得弾力性はFujiki and Mulligan [1996b] と類似の結果であった。1990 年代以後のデータから得た所得弾力性は徐々に低下し、2003 年度には0.92 まで低下した。2004~09 年度のデータから得た所得弾力性は0.6~0.7 程度であった。この結果を額面通り解釈すると、家計、企業の1%の経済活動増加に伴って必要とされる実質通貨需要は、1990 年代までは1%以上増加していたが、2000 年代に入ると1%以下しか増加しないようになった、という意味で経済活動における通貨需要の節約が進んだ、といえる。

キーワード:通貨需要関数、所得弾力性


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