ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2013-J-10

地域別データを用いた通貨需要関数の推計:アップデートと追加的発見

藤木 裕

 本稿では、Fujiki and Mulligan[1996a]の構造モデルを用いて、1955~2009年度の県別預金統計・県民経済計算統計から通貨需要の所得弾力性を推計し、Fujiki and Mulligan[1996b]が1955~1990年度のデータから得たM2類似預金の所得弾力性が1.2~1.4 との推計結果をアップデートした。分析によると、1980年代のデータから得た所得弾力性はFujiki and Mulligan[1996b]と類似の結果であった。1990年代以後のデータから得た所得弾力性は徐々に低下し、2003年には0.92まで低下した。2004~2009年のデータから得た所得弾力性は0.6~0.7程度であった。この結果を額面通り解釈すると、家計、企業の1%の経済活動増加に伴って必要とされる実質通貨需要は、1990年代までは1%以上増加していたが、2000年代に入ると1%以下しか増加しないようになった、という意味で経済活動における通貨需要の節約が進んだ、といえる。

キーワード:通貨需要関数、所得弾力性


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