金融研究 第33巻第2号 (2014年4月発行)

CVA 逆問題の確率的求解手法:
マーク付き分枝拡散過程の適用

孕石 匡弘

 本稿では、CVA を考慮したデリバティブの価格付けに関する問題のうち、逆問題と呼ばれる問題を効率的に求解する数値計算手法を提案する。逆問題とは、約定条件を所与とする通常の価格計算とは異なり、デリバティブ価格を所与としたうえで、その価格を実現する約定条件パラメータを求める問題のことである。こうした逆問題の求解は、実務的には頻繁な要請があるものの、特にCVA を考慮した逆問題の場合は、CVA の計算自体が計算負荷の大きい処理であるため、反復的なアルゴリズムを用いて解を求めるのは計算量の面から見て現実的ではない。このため、逆問題の求解には計算量を削減する工夫が必要となる。
 本稿は、逆問題の求解手法として、マーク付き分枝拡散過程と呼ばれる確率過程を用いたシミュレーションと、ロビンス=モンロー・アルゴリズムと呼ばれる確率的求解アルゴリズムを組み合わせる手法を提案する。この手法が適用できるための十分条件が、ペイオフ関数の約定条件パラメータに対する単調性に帰着されることを用いると、本稿の提案する手法が理論的に妥当であることが確認できる。さらに、実際の計算にこの手法を用いると、通常のモンテカルロ法と同程度の計算時間で逆問題の求解が可能になることが確認できる。

キーワード:CVA、デリバティブ評価における逆問題、マーク付き分枝拡散過程、ロビンス=モンロー・アルゴリズム


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2014 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム