金融研究 第32巻第2号 (2013年4月発行)

家計の危険資産保有の決定要因について:逐次クロスセクション・データを用いた分析

塩路 悦朗、平形 尚久、藤木 裕

 本稿の目的はわが国家計の危険資産保有の決定要因を分析することである。Fujiki, Hirakata, and Shioji [2012]は、2007~10年の家計のサーベイ・データを用いて、金融資産残高は株式保有の有無に対して有意に正の影響を与える、年齢は株式保有の金額比率に対して有意に正の影響を与えるとの推計結果を得た。本稿は1991年以後のデータを用いて分析を行うことにより、同論文の結論がどの程度頑健であるかを検証した。その結果、株式保有家計比率は一貫して15%程度であること、金融資産残高の危険資産保有、年齢の金額比率に与える影響は、おのおのFujiki, Hirakata, and Shioji [2012]と整合的であり、同論文の分析結果が頑健であることを確認した。一方で、株式保有確率に対する年齢の影響は1990年代末までは存在していたが、その後消滅したとみられる点もわかった。この結果の含意は、高齢化の進展が家計の危険資産保有に与える影響を予測する際に、高齢層が若年層よりも株式を比較的多く保有している理由として、年齢の影響よりも、高齢層の金融資産残高が相対的に高いことの影響が重要であることに注意すべきことである。

キーワード:ストックホールディング・パズル、資産選択


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