ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2013-J-1

家計の危険資産保有の決定要因について
─逐次クロスセクションデータを用いた分析─

塩路 悦朗、平形 尚久、藤木 裕

 本稿の目的はわが国家計の危険保有資産の決定要因を分析することである。Fujiki, Hirakata and Shioji (2012)は、2007-2010年の家計のサーベイデータを用いて、金融資産残高は株式保有の有無に対して有意に正の影響を与える、年齢は株式保有の金額比率に対して有意に正の影響を与える、との推計結果を得た。本稿は1991年以後のデータを用いて分析を行うことにより、同論文の結論がどの程度頑健であるかを検証した。その結果、株式保有家計比率は一貫して15%程度であること、金融資産残高の危険資産保有、年齢の金額比率に与える影響は、各々Fujiki, Hirakata and Shioji (2012)と整合的であり、同論文の分析結果が頑健であることを確認した。一方で、株式保有確率に対する年齢の影響は1990年代末までは存在していたが、その後消滅したとみられる点もわかった。この結果の含意は、①株式保有家計比率が低いことを説明する要因として、所得の低成長や株価の低迷といったマクロ的要因に加えて、危険資産の保有に対する固定的な取引費用が大きく低下していないこと等のミクロ的な要因も無視できないこと、②株式保有を通したより効率的な世代間のリスクシェアリングを推進する観点からは、マクロ経済の好転だけではなく、株式市場への参加や株式運用に関する固定的な取引費用を低下させるための金融教育や金融取引に対する情報提供を推進することも政策的に重要であること、③高齢化の進展が家計の危険資産の保有に与える影響を予測する際に、高齢者が若年層よりも株式を比較的多く保有している理由は、年齢の影響よりも、高齢層の金融資産残高が相対的に高いことの影響が重要であることに注意すべきことである。

キーワード:ストックホールディングパズル、資産選択


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