金融研究 第29巻第2号 (2010年4月発行)

低金利下における企業の投資行動と信用リスク:
リアルオプション・モデルによる考察

山田 哲也

 低金利の長期継続期待が、企業・家計のファイナンス行動や実物投資行動に強い影響をもたらし、設備投資や住宅投資の積極化、その後のバランスシート問題につながっていく現象が、近年、多くの国で発生してきた。本稿では、低金利環境下において、企業の投資や資金調達が積極化し、信用リスクが高まるメカニズムについて、リアルオプション・モデルの視点から考察を行う。その結果、低金利継続期待が強い場合だけでなく、先行き金利上昇期待が存在している場合においても、将来の金利上昇の可能性を近視眼的に捉えてしまう企業が投資や資金調達を積極化させ、信用リスクの増加につながりうることを示す。

キーワード:低金利、投資行動、信用リスク、リアルオプション、コーポレート・ファイナンス、時間非整合的割引率、行動経済学


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