金融研究 第27巻第2号 (2008年4月発行)

株式利益の希薄化を考慮した転換価格修正条項付き転換社債の価格について

楠岡 成雄

 現在、転換価格修正条項付き転換社債(Moving Strike Convertible Bond:以下、MSCB)を第三者割当方式で発行するということが、よく行われている。MSCBは請求すれば発行企業の株式に転換することのできる社債であるが、その際の1株当たりの転換価格が固定されておらず、請求時までの株価の履歴により決まるものである。転換社債の価格に関しては、株価過程を与えられたものとし、転換社債をデリバティブの一種として捉えてデリバティブの価格理論を適用するという形で価格を導いているものが大多数である。転換社債の発行量が株式総数に比較して小さい場合はこの考え方は第1次近似として問題はない。しかし、発行量が大きい場合は、株式価値希薄化による株価への影響を考慮する必要があり、この考え方は不十分である。本稿では、会社価値の増減のメカニズムは与えられたものとして、株価および転換社債の価格は株式保有者と転換社債保有者のゲームの結果として定まるという考え方のもとで転換社債の価格を論じる。

キーワード:転換社債、MSCB、株式価値の希薄化


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