金融研究 第27巻第1号 (2008年3月発行)

近年のアフィン型イールド・カーブ・モデルの展開:マクロ・ファイナンスへの応用、ジャンプや信用リスクの取込み

紅林孝彰

 金利の期間構造(イールド・カーブ)の変動を表現するモデルの1つのクラスとして、アフィン・モデル(affine model)がある。このクラスのモデルは、無裁定条件のもとで、任意の満期の割引債のイールドを状態変数ベクトルの線形関数で表現することができ、債券や金利派生商品の価格付けが比較的容易となるため、これまでに数多くの研究が行われてきた。特に近年では、状態変数間の制約を緩めることで、モデルの表現力を高める研究や、状態変数にマクロ経済変数を取り込むことで、経済成長率やインフレ率などと金利の期間構造の関係の解明を試みる研究が注目されている。そこで、本稿では、これまでに行われてきたマルチ・ファクター・アフィン・モデルの研究の流れを整理するとともに、近年注目を集めつつある、マクロ経済変数を状態変数に取り入れたアフィン・モデルを紹介する。

キーワード:金利期間構造、アフィン・モデル、リスクの市場価格、ジャンプ拡散過程、信用リスク、マクロ・ファイナンス


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