金融研究 第26巻別冊第2号 (2007年11月発行)

多変量派生資産の評価:コピュラと共単調和によるアプローチ

小暮 厚之

 多変量派生資産とは、将来のペイオフが複数の原資産に依存している派生資産を指す。 このような多変量派生資産を評価するためには、多変量リスク中立分布を規定する必要がある。 もしも多変量派生資産が市場において頻繁に取引されていれば、その市場価格から多変量派生リスク中立分布を抽出することが可能であろう。 しかし、新たに多変量派生資産が市場に導入される場合や、既に導入されていたとしても流動性が低い場合には、 市場価格から多変量リスク中立分布を完全に決定することは困難である。 ただし、そのような場合でも、多変量派生資産を構成する各個別資産は市場で広く取引されている場合が通常であり、 少なくとも各資産の個別リスク中立周辺分布を規定することは可能であろう。
 本稿では、個別リスク中立分布が既に規定されているという条件のもとで、いかに多変量派生資産を評価すべきかという問題を考える。 よく知られているように、多変量リスク中立分布は、個別リスク中立分布とリスク中立コピュラ関数に分解できる。 リスク中立コピュラをモデリングする手法として、個別ディストーションと同時ディストーションを考察する。 また、最近の保険リスク理論の成果である共単調性という考え方を適用して、リスク中立コピュラを規定することなく多変量資産を評価するアプローチを試みる。 日経225およびS&P500株価に対する適用を通じて、その実用性を検討する。

キーワード:多変量派生証券、コピュラ、レインボー・オプション、共単調和、アジアン・オプション


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2007 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム