金融研究 第20巻別冊第2号 (2001年12月発行)

格付け推移行列のファクター・モデル

森平 爽一郎、隅田 和人

 バーゼル合意に基づく自己資本規制の改定へ向けた最近の動きにみられるように、信用リスクの計量化にあたって、信用格付けを基礎とする考え方が注目されている。本稿では、格付けの変化を記述する推移確率そのものが時間を通じて変動すると考え、その変化を外生的に与えたファクターによって説明するモデルを構築した。具体的には、(1)将来の1時点における格付け変化を順序プロビット分析によって説明するモデルと、(2)将来の任意の時点の格付け変化を生存分析によって説明するモデル、の2つを提唱し、実際に日本の事業債格付けのデータを用いた分析結果を示した。こうした2つの分析方法により、信用リスク・ファクターの変化がもたらす将来の格付けの変化と、それが債券・貸出の価値に与える影響を評価できるようになり、信用リスクの測定をより適切に行える可能性を示した。

キーワード:信用リスク、格付け推移行列、順序プロビット・モデル、生存分析、コックスの比例ハザード・モデル


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