金融研究 第19巻別冊第1号  (2000年4月発行)

デジタルタイムスタンプ技術の現状と課題

宇根 正志、松浦 幹太、田倉 昭

 デジタルタイムスタンプ技術は、デジタルデータがある特定時刻に存在していたことを証明するとともに、その時刻以降データが変更されていないことを証明する技術である。近年、インターネット上での電子商取引の活発化や、紙ベースの文書を電子媒体に置き換えて管理する電子文書管理の利用拡大に伴い、「誰が、いつ、どんなデータを生成し、交信したか」を第三者が証明する「電子公証」の仕組みが必要とされている。電子公証は、送信受信者の特定、到達確認、時刻情報の付与、改ざんの検知、電子文書保管等の機能を具備するものといわれており、デジタルタイムスタンプ技術は、このうち、時刻情報付与や改ざん検知の機能を実現する技術である。
 従来からデジタルタイムスタンプ技術に関する理論研究が行われてきたが、最近では、実装を視野に入れた研究が世界各国で開始されている。日本では、法務省が、電子確定日付サービスを含む電子公証制度の実現に向けて検討を行っているほか、海外では、ベルギーやスペイン等において研究プロジェクトが進められている。また、米国や英国では、既に民間企業がサービスを開始している。
 一方、デジタルタイムスタンプ技術の標準化も進められている。インターネット上での公開鍵インフラに関する標準化を行うIETF PKIXは、タイムスタンプ・プロトコルの標準規格の策定を行っているほか、情報セキュリティ技術の国際標準化を担当するISO/IEC JTC1/SC27においても、デジタルタイムスタンプのサービスに関する標準化作業が進められている。
 デジタルタイムスタンプ技術は、今後、金融分野をはじめとする幅広い分野において利用されるようになるものとみられる。本稿では、デジタルタイムスタンプ技術の特徴や機能について整理したうえで、最近の研究・実装動向、標準化動向や、デジタルタイムスタンプ技術に関連する主要な特許を紹介する。

キーワード:デジタルタイムスタンプ、電子公証、デジタル署名、ハッシュ関数、確定日付制度、国際標準


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