金融研究 第19巻第1号  (2000年3月発行)

エマージング・マーケット諸国の為替相場制度・金融制度の選択について

藤木 裕

 エマージング・マーケット諸国の為替相場制度の歴史的変遷をみると、資本移動の自由化に伴い多くの国で固定相場制からフロート制への移行が進む一方で、香港、アルゼンチンのカレンシー・ボード制のような「厳格な固定相場制」も存続している。こうした経験を踏まえ、学界・国際機関等では、「自由な資本移動のもとで存続可能な為替相場制度は厳格な固定相場制とフロート制である (Two Corner Solutions)」、とする向きが多い。自由な資本移動のメリットを享受するためには、金融制度の整備が前提となる。こうした整備が不十分な国々では、次善の策として①過剰な外貨建て借入によるバブル発生の防止、②金融政策の実効性確保、③実質為替レートの切上げの防止、という観点から時限的短期資本流入規制が有力である。本稿はエマージング・マーケット諸国が採用しうる為替相場制度・金融制度のオプションの特色を議論するとともに、その背景となる経済理論を紹介する。

キーワード:カレンシー・ボード、一方的な完全ドル化、時限的短期資本流入規制、Two Corner Solutions 、モラル・ハザード、流動性


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