金融研究 第17巻第2号 (1998年5月発行)

金利変動と先物価格の複製過程:ユーロ円金利先物市場の価格形成

倉澤 資成、呉 泳

 金利が確定的であれば先物(futures)と先渡(forward)は一致し、先物の価格と対象資産の価格の関係は簡単に求められるが、金利変動の不確実性を考慮すれば両者は異なる。しかし、金利が確定的でないときには、先物のペイオフを複製する一般的な戦略は知られていない。この論文では、先物の対象資産と金利のボラティリティが時間だけの関数であるとき、先物のペイオフを原資産と割引債のポートフォリオで複製できることを示し、その投資戦略を具体的に導出する。さらに、この関係を用いて、ユーロ円先物市場の価格形成について実証的に検討し、次のような結果を得た。(1)金利先物価格は金利先渡価格と必ずしも一致しない。このため、金利先物価格の代理変数として先渡価格を用いると、少なくない問題が生ずる可能性がある。(2)ユーロ円市場において、先物の変化がフォワード・カーブの変化に関して一定の予測力をもつ。この意味で、ユーロ円の先物価格には、将来のフォワードカーブに関する情報が反映されている。(3)先物価格と複製戦略の価値は、期間を5-7日とるとかなりの程度連動する。短期的な両者の乖離のかなりの部分は1日で調整される。

キーワード:金融先物、ユーロ円金利先物、金利のボラティリティ、複製戦略


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