金融研究 第17巻第2号 (1998年5月発行)

デリバティブ商品価格から導出可能な市場情報を利用したマーケット分析方法

小田 信之、吉羽 要直

 本稿の目的は、デリバティブ商品価格に含まれる市場情報の抽出手法およびその市場分析への活用方法について、包括的な論点整理を行うことにある。近年におけるデリバティブ取引の拡大がもたらしたメリットの1つとして、市場で観測されるデリバティブ商品価格を分析することによって、将来の市場動向に関する市場参加者の期待をより深く考察することが可能になった点が挙げられる。本稿は、このような分析の方法論について整理する。
 注目すべき点として、各種デリバティブ取引の中でもオプション商品の価格情報には、将来の原資産価格に関する確率分布情報が含まれている点が挙げられる。この情報は、非オプション商品の市場価格からは得られないという意味で、新しいタイプの情報である。本稿では、このメカニズムを解説したうえ、確率分布を導出する各種手法について先行研究のサーベイを交えつつ、新たにスプライン関数を用いる推定手法を提示する。実証例として、わが国の日経平均株価指数オプションの価格データに適用した分析を示し、予測の有効性や推定手法の選択等に関する考察を行う。

キーワード:オプション取引、インプライド・ボラティリティ、確率密度分布、歪度・尖度、フォワード・レート・カーブ


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