ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2007-J-18

購買力平価(PPP)パズルの解明:時系列的アプローチの視点から

藪友良

 本稿では、為替レートの長期的トレンドを説明する購買力平価に関する研究について直観的に紹介する。1990年代半ばまでの研究により、(1)長い目でみると為替レートは購買力平価が提示する均衡値へ戻ること、(2)均衡値からの乖離が半減するまで3~5年かかること(PPPパズルと呼ばれる)がコンセンサスとなった。それ以降の研究では、PPPパズルを説明する多くの仮説が提示されている。これらの仮説のうち、(1)輸送費などの摩擦、(2)構造変化、(3)財ごとの均衡への収束速度の違い、に着目した研究を紹介する。本稿では、購買力平価に関する実証研究に対して、時系列論の発展が重要な貢献をもたらしていることについて、詳細に説明している。

キーワード:為替レート、実質為替レート、購買力平価、PPPパズル、一物一価の法則、半減期、単位根検定


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2007 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム