日本銀行金融研究所は、5月27日~28日に「物価変動と金融政策の課題―教訓と展望―」をテーマとして2024年国際コンファランスを開催した。1983年の初回以降、今年で29回目を迎えた本コンファランスは、日本銀行の金融政策の「多角的レビュー」の一環として開催され、物価変動ダイナミクスと伝統的・非伝統的金融政策について活発な議論が行われた。植田和男(日本銀行)の開会挨拶に続き、ジョン・B・テイラー(スタンフォード大学)が近年の米国をはじめとする各国のインフレと金融政策について論じた前川講演を行った。また、内田眞一(日本銀行)が日本の過去25年間の物価変動について、金融研究所海外顧問のマーカス・ブルネルマイヤー(プリンストン大学)が回復力を意味するレジリエンスを踏まえた金融政策について、それぞれ基調講演を行った。論文報告セッションでは、ジョン・H・コクラン(スタンフォード大学)、法眼吉彦(日本銀行)、ソフォクルス・マブロエイディス(オックスフォード大学)、リカルド・ライス(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス)が、物価と金融政策に関する理論的・実証的な研究の報告と討議を行った。さらに、1つ目の政策パネル討論では金融研究所海外顧問のアタナシオス・オルファニデス(マサチューセッツ工科大学)を座長とし、物価変動をテーマとして、チャールズ・L・エバンス(前シカゴ連邦準備銀行)、ピエール=オリヴィエ・グランシャ(国際通貨基金)、オッリ・レーン(フィンランド中央銀行)、エリ・レモロナJr.(フィリピン中央銀行)、ボシティアン・ヴァスレ(スロベニア銀行)の5名がパネリストを務め議論をかわした。ブルネルマイヤーを座長とする2つ目の政策パネル討論では、伝統的・非伝統的金融政策の効果をテーマとして、ミシェル・W・ボウマン(連邦準備制度理事会)、トーマス・J・ジョルダン(スイス国民銀行)、ロレッタ・J・メスター(クリーブランド連邦準備銀行)、イザベル・シュナーベル(欧州中央銀行)、氷見野良三(日本銀行)の5名がパネリストを務め議論をかわした。
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