金融研究 第42巻第4号 (2023年10月発行)

わが国のエネルギー効率:企業・家計部門の動向とカーボンニュートラルに向けた含意

青木浩介、高橋優豊、中島上智、八木智之、山田琴音

本稿では、国内外で脱炭素化に向けた取組みが広がっていることを踏まえて、わが国のエネルギー消費原単位(エネルギー効率)の推移とその変動要因について、経済主体別に考察する。主な分析結果は次のとおり。わが国のエネルギー効率は、(1)まず、1970年代から1980年代には、企業部門でエネルギー節約的な技術進歩が進んだことを主因に、大幅に改善した。(2)その後、1990年代から2000年代前半には、総じてエネルギー効率の改善ペースが鈍化したが、(3)近年では、家計部門を中心に、緩やかな効率改善がみられている。近年の動きについて、家計部門に関する簡単なモデルを使って考察・試算したところ、企業部門が開発した省エネ製品を家計が購入・利用していることが、エネルギー効率改善につながっていることが窺える。カーボンニュートラルの実現に向けて、各部門において、エネルギー効率改善に向けた取組みが進捗することが期待される。

キーワード:気候変動、カーボンニュートラル、エネルギー効率、技術進歩


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