金融研究 第41巻第3号 (2022年7月発行)

日本企業によるNon-GAAP指標の開示に関する特性分析:IFRS任意適用企業を対象とした検証

加藤達也

本稿は、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards: IFRS)を任意適用する日本企業を対象に、Non-GAAP指標(一般に公正妥当と認められる企業会計の基準〈Generally Accepted Accounting Principles: GAAP〉による定めがない指標)の開示と財務情報を中心とする企業属性との関連性を実証的に分析することで、企業がNon-GAAP指標を自発的に開示する動機を検証している。分析の結果、Non-GAAP指標を開示する企業の特性について、先行研究で示された企業が適用している会計基準に加え、企業の無形資産への依存度や資本構成、規模・成長性、株主構成など、幅広い企業属性が影響していることが判明した。一方、海外企業を分析対象とする先行研究では、Non-GAAP指標の開示との関連性が指摘されたGAAPベースの利益の質やその水準は、今回の分析では関連性は認められなかった。本稿は、日本企業がNon-GAAP指標を開示する動機について新たな知見を提示している。

キーワード:Non-GAAP指標、国際財務報告基準(IFRS)、機械学習


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