金融研究 第40巻第4号 (2021年10月発行)

財・サービス価格の統合:わが国におけるFD-ID型物価指数

井上萌希、川上淳史、高川泉、中野将吾、増島綾子、武藤一郎

生産者物価指数(Producer Price Index: PPI)の利用目的の1つとして、一国全体の財・サービスの需給動向を適切に表す集計化物価指数としての役割が挙げられる。この点、わが国のPPIは、(1)財とサービスに関する指数が別々に作成・公表されており、それらを包含した経済全体の物価変動圧力を把握できない、(2)需要段階の異なる品目をグロス取引額のウエイトで加重平均した「総平均指数」として集計化する結果、生産フローの川上ステージの価格変動の影響を過大評価してしまうといった課題を抱えている。本稿では、わが国の財・サービスに関するPPIの品目指数を、産業連関表の生産フローに準拠し、最終需要(Final Demand: FD)ステージと4つの中間需要(Intermediate Demand: ID)ステージに最適に分類し、重複を排除して集計した「FD–ID型物価指数」を作成した。同指数を用いると、財・サービスを包含したわが国経済全体の価格変動圧力を把握できるほか、生産フローを通じた価格変動の波及プロセスを、財とサービスにまたがる形で捉えることができる。

キーワード:生産者物価指数(PPI)、FD–ID型物価指数、産業連関表


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