金融研究 第40巻第2号 (2021年4月発行)

情報爆発時代の切り札へ:DNAストレージに関する研究動向とセキュリティ分析

井上紫織

近年、世界は情報爆発の時代を迎えており、データ・ストレージへの需要が急増している。現在、データ・ストレージには主にハードディスク・ドライブ(HDD)が用いられているが、その記録密度の伸び率は鈍化傾向にあり、新たなストレージ技術への期待が高まっている。こうした状況を受け、近年、高密度かつ長期間のデータ保存が可能とみられているDNA(deoxyribonucleic acid)を情報記録媒体として用いるDNAストレージの研究が活発化している。最近では、自社のデータ・センターでDNAストレージを実装することを目指して研究を進めているとみられる企業もある。本稿では、DNAストレージの要素技術を解説するとともに、DNAストレージの基本的な概念および実用化に向けた研究動向を紹介する。さらに、DNAストレージを実装するシステムの形態を1つ想定し、セキュリティ面に焦点を当てて分析し課題を考察する。

キーワード:DNAストレージ、情報爆発、情報記録媒体、セキュリティ、データ・ストレージ


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