金融研究 第40巻第1号 (2021年2月発行)

「金融サービスにおける顧客情報の利用を巡る法律問題研究会」報告書:顧客情報の利活用に関する行為規範のあり方

金融サービスにおける顧客情報の利用を巡る法律問題研究会

本稿は、日本銀行金融研究所が設置した「金融サービスにおける顧客情報の利用を巡る法律問題研究会」(メンバー〈50音順、敬称略〉:井上聡、加毛明、神作裕之、神田秀樹〈座長〉、事務局:日本銀行金融研究所)の報告書である。
近年、情報通信技術の飛躍的な発展等を背景に、業種・業態を問わず幅広い主体で情報を利用しようとする動きが進展している。こうした変化に対応していく環境を整備するため、2019年に銀行法が改正され、銀行は従前許容されていなかった顧客情報を第三者に提供することを目的とする業務を営むことが可能となった。
改正銀行法のもとで、顧客の権利利益の保護や利便性の向上を図りつつ、情報の利活用を促進していくためには、銀行がこうした業務を営む際に遵守すべき行為規範を明らかにする必要があると考えられる。そうした行為規範としては、銀行の守秘義務や個人情報保護法に基づくものが想定されるが、改正銀行法における顧客情報の第三者提供業務において、それらがどのように機能するかは、現状、必ずしも明らかではない。この点に関する検討を深めることは、銀行が顧客情報の第三者への提供を行っていくうえでも、重要な視点を提供すると思われる。
以上のような問題意識を踏まえ、本報告書では、認定情報銀行制度といった足許の顧客情報の第三者提供に関する動きも視野に入れつつ、顧客情報の第三者提供業務の銀行法上の位置付けや同業務における銀行の守秘義務および個人情報保護法の適用関係を整理したうえで、それらの行為規範の内容について検討するとともに、新たな行為規範の必要性およびそのあり方について論じている。


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

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