金融研究 第39巻第4号 (2020年10月発行)

暗号ハードウェアの研究開発動向:フィジカリー・アンクローナブル・ファンクション

菅原健

フィジカリー・アンクローナブル・ファンクション(Physically Unclonable Function: PUF)とは、大量生産された製造物の個体識別を行うための技術である。PUFは実用化の段階にあり、PUFを搭載したチップが次々に市場投入されている。その中で、PUFの研究者のみならず、PUFを利用する可能性がある分野の技術者や実務家もPUFの長短所やセキュリティ特性について理解を深めておくことが一段と重要になる。本稿は、代表的なPUFの実現法、PUFに求められる性質、PUFの応用法、PUFの既存の攻撃法などについて述べる。PUFの代表的な利用法は2つある。第1は、PUFを暗号の軽量な代替として用いることであり、RFID(Radio Frequency Identifier)のように極限的に計算資源が限られた機器にセキュリティを付与することができる。第2は、PUFを暗号鍵の保管庫として利用することであり、ICカードなどの高セキュリティ製品においてリバース・エンジニアリング耐性を付与することができる。

キーワード:暗号ハードウェア、ハードウェア・セキュリティ、フィジカリー・アンクローナブル・ファンクション(Physically Unclonable Function)


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