金融研究 第39巻第2号 (2020年6月発行)

金融規制法における「預金受入れ」の位置付けについての一考察:スイスにおける改正銀行法を手掛かりとして

関口健太

わが国では、近時、機能別・横断的な金融規制のあり方が議論されているが、「預金受入れ」が金融規制においてどのように位置付けられるべきかについては、これまでコンセンサスが形成されているわけではない。その背景には、預金を受け入れる主体が銀行として規制されてきたため、アンバンドリング化された「預金受入れ」の規制範囲や規制手法の横断的な検討が、必ずしも十分に行われてこなかったことがあると思われる。
こうした中、最近の海外の状況をみると、スイスにおいて、典型的な銀行業を営まない主体による預金受入れにつき、銀行よりも緩やかな規制に服する新たな免許が創設された。本稿は、スイスにおける預金受入れの規制枠組みについて、その概要を紹介するとともに、主として経済学の分野で議論が蓄積されてきた銀行の規制根拠の観点から分析する。そして、スイスとわが国の規制枠組みの比較を通じ、規制対象とすべき預金受入れの範囲や、その規制のあり方を考察する。

キーワード:預金、銀行法、出資法、スイス、フィンテック、横断的規制


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