本研究では、日々配信されている経済ニュースを畳み込みニューラル・ネットワークを用いた自然言語処理によって指数化し、景気動向のナウキャスティングを試みた。そのうえで、構築した景況感ニュース指数(以下、ニュース指数)による資産価格のボラティリティ予測の有効性を検証した。分析の結果、ニュース指数は景気動向を表す経済指標と類似した推移を示しており、特に不確実性が高い時期においてナウキャスティングに有用である可能性が示された。また、ニュース指数はボラティリティ・モデルの予測力を向上させる可能性が示された。さらに、訓練データに利用した景気ウォッチャー調査の景気判断理由集のうち、現状判断を学習したモデルから構築されたニュース指数と先行き判断を学習したモデルから構築されたニュース指数では、予測やナウキャスティングに有用な場面が異なることが示された。
キーワード:自然言語処理、テキスト・データ、畳み込みニューラル・ネットワーク、景気動向、実現ボラティリティ、ナウキャスティング
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