金融研究 第36巻第1号 (2017年1月発行)

CVAにおける誤方向リスク・モデル:実装と比較

安達哲也、末重拓己、吉羽要直

本稿では、信用評価調整(Credit Valuation Adjustment: CVA)における誤方向リスクのモデル化手法を概観した安達・末重・吉羽[2016a]の3節および4節に即して、クロス・カレンシー・スワップとクレジット・デフォルト・スワップを金融商品例として誤方向リスク・モデルを実装し数値計算を行う。具体的なモデル化手法として、カウンターパーティの信用リスク・モデルとしての(1)構造モデルおよび(2)デフォルト強度モデルに基づいた手法、そして、デリバティブ・エクスポージャーと信用リスクの間の相互依存関係を表現するための(3)コピュラ・アプローチという3つの手法を取り上げる。これらのモデルを実装してCVAを数値例で評価することにより、モデル化手法の差異を考察する。また、金融危機後の金融実務において担保契約の重要性が高まっていることにかんがみ、変動証拠金を考慮した場合のCVA評価についても論じる。

キーワード:CVA、誤方向リスク、デフォルト強度、構造モデル、ジャンプ拡散過程、コピュラ


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