金融研究 第34巻第4号 (2015年10月発行)

第16回情報セキュリティ・シンポジウム
「金融サービスにおける技術進歩と課題:CITECS設立10周年記念」の模様

日本銀行金融研究所は、2015年3月11日、「金融サービスにおける技術進歩と課題:CITECS設立10周年記念」をテーマとして第16回情報セキュリティ・シンポジウムを開催した。本シンポジウムには、情報セキュリティ技術にかかわる金融機関の実務者や官公庁関係者、暗号学者、システム開発・運用に携わる実務家や技術者等、計128名が参加した。
最近の金融サービスにおける技術進歩には目覚ましいものがある一方で、そうした技術を実装し利活用していくことに伴うセキュリティリスクが意識されるようになっている。このような問題意識に基づき、今回のシンポジウムでは、(1)EMVカードに対する新攻撃手法を考察し、インターネット・バンキングにおける「取引認証」の安全な実装に応用する研究や、(2)ICカードに関しサイドチャネル攻撃の観点から安全性評価を行う手法を整理し、実装時の留意点を明らかにする研究、さらに、(3)最近、耐量子コンピュータ暗号として注目されている格子暗号の最新動向に関する研究についての発表が当研究所スタッフにより行われた。また、金融機関による、インターネット・バンキングにおける不正送金の手口と自行における対策に関する講演に続いて、その中で明らかにされた問題提起を受けるかたちで、「インターネット・バンキングの安全性向上に向けて」と題したパネル・ディスカッションを行った。本稿では、本シンポジウムを構成するキーノート・スピーチ、4件の講演、パネル・ディスカッション、の概要を紹介する。

キーワード:インターネット・バンキング、取引認証、ICカード、格子暗号


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