金融研究 第32巻第3号 (2013年7月発行)

第14回情報セキュリティ・シンポジウム「多様化するリテール取引の安全性:モバイル化を支える情報セキュリティ技術を中心に」の模様

 日本銀行金融研究所は、2012年12月20日、「多様化するリテール取引の安全性:モバイル化を支える情報セキュリティ技術を中心に」をテーマとして、第14回情報セキュリティ・シンポジウムを開催した。
 金融機関における預金引出や振込等のリテール取引では、窓口における対面取引からATM等を通じた非対面取引が中心になって久しい。また、最近では、PCやさまざまなモバイル端末を使ったバーチャルな環境での取引への対応が進むなど取引の形態が多様化してきている。一方で、多種多様なサービスが提供されるのに伴い、さまざまなセキュリティ上の脅威が顕現化しており、こうしたサービスに用いられる情報セキュリティ技術は常に進化が求められている。
 こうした問題意識に基づき、今回のシンポジウムでは、(1)キャッシュカード・システムにおけるICカード対応の意義や今後の課題、(2)公開鍵暗号として今後中心的な役割を担うことが期待されている「楕円曲線暗号」の概要と利用上の留意点、(3)スマートフォンのアプリケーションを用いたモバイル・バンキングに対して想定される攻撃とその対策、(4)ウイルスを用いたインターネット・バンキングに対する新たな攻撃「Man-in-the-Browser攻撃」とその対策の安全性評価について、専門家や当研究所スタッフによる講演が行われた。
 本稿では、本シンポジウムを構成するキーノート・スピーチ、4件の講演、総括コメントの概要を紹介する。


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