金融研究 第32巻第1号 (2013年1月発行)

アメリカン・モンテカルロ法における継続価値評価の精緻化

森本裕介

 アメリカン・モンテカルロ法とは、アメリカン・オプションの価格をモンテカルロ法を用いて数値的に計算する手法の総称である。同手法はアメリカン・オプションの価格評価だけでなく、金融機関のリスク管理にも利用されるなど幅広く活用されているが、計算の速度と精度には改善の余地が残されている。本研究では、継続価値と呼ばれるアメリカン・オプションの将来時点における価値をウィーナー空間上の立体求積法を用いた新しい手法で精度良く近似することを通じて、アメリカン・モンテカルロ法の計算精度を向上させるアルゴリズムを開発する。本稿では、まず、アメリカン・モンテカルロ法について既存研究を踏まえた解説を行う。次に、本研究が提案するアルゴリズムとその特徴について述べる。最後に、数値例を用いて、既存の手法では必要な精度を伴った計算結果を得ることが難しい場合でも、本研究が提案する手法を適用すれば高い精度の計算が可能であることを示す。

キーワード:アメリカン・オプション、アメリカン・モンテカルロ法、最小二乗モンテカルロ法、確率メッシュ法、ウィーナー空間上の立体求積法、キューバチャー法


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