金融研究 第31巻第4号 (2012年10月発行)

銀行理論と金融危機:マクロ経済学の視点から

加藤涼、敦賀貴之

 本稿では、世界金融危機後に発展してきた金融危機に関する理論的文献を展望する。その準備としてまず、既存の経済学が、1980年代から銀行システムの脆弱性に関する研究を続けてきた経緯を改めて振り返る。次に、世界金融危機以降、既存の研究の延長線上で銀行システムと金融危機を扱う新しい試みが提案されていることを紹介し、その中から特に「信用外部性」に焦点をあて、自由放任的な銀行システムが引き起こす金融危機をどのように理解できるか検討・紹介する。最後に、自由放任的な銀行システムが過剰なリスクテイクを行うことのマクロ経済的な帰結について、若干の議論を行う。

キーワード:金融危機、銀行システム、流動性、満期変換、信用外部性


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