金融研究 第26巻法律特集号 (2007年12月発行)

米国資本市場の競争力に関する最近の議論について ―SOX法制定から5年を経て―

大川昌男

 米国では、2001年に発生したエンロン事件等の会計不祥事に対応して、投資家の信頼確保、会計・財務報告の信頼性・透明性向上を企図し、2002年7月にサーベインス・オクスリー法(SOX法)が制定された。
 SOX法の制定から約5年が経過した現在、米国では、SOX法および同法関連諸規則の「規制の過剰性」の問題を契機として、それが米国資本市場の競争力を損なっているのではないかという観点からの議論が盛り上がりをみせている。すなわち、2006年秋以降、資本市場の競争力向上を検討する各種フォーラムにより、SOX法関連諸規則の見直しを含む米国資本市場の競争力向上のための提言を盛り込んだ報告書が公表されている。
 本稿では、これらの報告書の内容を紹介するとともに、米国資本市場の競争力を考えるうえでとりわけ興味深いと思われる論点に関する議論、すなわち、規制のあり方(規制コスト)に関する問題、財務報告に係る内部統制に関する問題、監査法人等のゲートキーパーの役割と責任に関連する問題について、議論を整理する。

キーワード:資本市場の競争力、過剰規制、内部統制、ゲートキーパー、資本市場法制、SOX、アメリカ法


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