金融研究 第23巻法律特集号 (2004年8月発行)

通貨偽造罪の研究

佐伯仁志

 通貨の出現は、通貨偽造の出現を意味する、といわれる。国家は、古くから、通貨偽造の処罰に強い関心を抱いてきた。本稿では、わが国の通貨偽造罪について、過去から現在に至る歴史と犯罪現象を概観したうえで、現行法の解釈を検討し、さらに、通貨偽造罪の将来を展望するための検討を行った。
 まず、古代の和銅年間から現在に至るまでのわが国における通貨偽造罪の法制面の歴史と、明治期以降の通貨偽造罪に関わる犯罪発生状況を概観している。そのうえで、現行刑法における通貨偽造罪の主な解釈問題について検討している。すなわち、通貨偽造罪の保護法益、客体、偽造・変造の意義、行使・行使の目的の意義等を検討するとともに、外国通貨の偽造、偽造通貨等収得、偽造通貨収得後知情行使、通貨偽造等準備についても検討を加えている。さらに、通貨偽造罪の将来を展望するための検討として、電子マネーおよび地域通貨の偽造の問題をとりあげて、検討を行っている。

キーワード:通貨、通貨偽造、通貨偽造罪、電子マネー、地域通貨


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