本稿は、近年、応用科学の分野で注目を浴びつつあるウェーブレット解析のエコノミスト向け入門書である。ここでは、ウェーブレット変換を一種の線形フィルタリングと解釈し、その基礎概念と活用法を解説する。さらに、多重解像度解析や周期別の回帰分析といった初歩的な分析から、構造変化検定や長期記憶過程の推計といった比較的高度な分析まで、わが国のデータを用いた実証例を交えながら紹介してゆく。
キーワード:ウェーブレット解析、フーリエ解析、時間周波数解析、線形フィルタリング、多重解像度解析、恒常所得仮説、フラクショナル・インテグレーション
掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。