金融研究 第21巻第2号 (2002年6月発行)

ワークショップの模様「金融商品の全面公正価値評価と会計情報の有用性」

 近年、国際的に金融商品会計の整備が急速に進められており、主要国会計基準の多くや国際会計基準では、一部の金融商品を公正価値評価し、財務諸表本体に反映させることとされている。こうした中、2000年12月に、JWGドラフト基準が公表された。同ドラフト基準では、原則として、すべての金融商品を貸借対照表(B/S)上で公正価値評価し、期中の公正価値の変動額をすべて損益として損益計算書(P/L)に計上する、という会計処理(以下、全面公正価値会計という)が提案されている。こうした考え方をめぐっては、国内外で活発な議論が行われているが、これまでのところ、理論的な検討が十分に尽くされているとは、必ずしもいえないように窺われる。
 日本銀行金融研究所では、こうした状況を踏まえ、2002年1月18日、「金融商品の全面公正価値評価と会計情報の有用性」をテーマとするワークショップを開催した。本ワークショップの目的は、金融商品の全面公正価値会計をめぐる理論的な諸問題について、企業会計、ファイナンス理論、商法といった幅広い観点からの学際的な議論を通じ、理解を深めることにある。
 本ワークショップでは、現行会計基準の評価、全面公正価値会計の妥当性、B/S情報とP/L情報の関係などについて、活発な議論が行われた。本稿は、ワークショップにおける報告、討論および座長総括コメント等の概要を紹介するものである。


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