金融研究 第19巻第4号 (2000年12月発行)

資産価格バブルと金融政策:1980年代後半の日本の経験とその教訓

翁邦雄、白川方明、白塚重典

 日本経済は1980年代後半以降、バブル経済の発生・拡大、崩壊という形で、極めて大きな変動を経験した。バブル経済は、①資産価格の急激な上昇、②経済活動の過熱、③マネー・信用の膨張の3つによって特徴づけられる。本稿は、こうしたバブル経済の発生メカニズムについて検討するとともに、将来のバブル経済の再発防止に向けて、中央銀行としてこの経験から引き出すべき教訓を整理しようとするものである。具体的には、まずバブル経済の発生・拡大、崩壊の過程を、資産価格・実体経済の大きな変動の背後にあったと考えられる期待の強気化とその崩壊を分析の中心に据え、当時の金融政策の運営との関係を意識しつつ検討する。そのうえで、物価の持続的な安定と金融システムの安定を実現するための金融政策運営の枠組みを議論する。

キーワード:資産価格、バブル、期待の強気化、金融政策、持続的な物価の安定、金融システムの安定、先行きを展望した(foreward-looking)金融政策


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