日本銀行金融研究所は、1999年11月1日、「金融業務と認証技術」をテーマとして、第2回情報セキュリティ・シンポジウムを開催した。
近年、銀行や証券会社は、「自宅や勤務先のパソコンからオープンなネットワークを通じて自由な時間に利用できるような金融サービスを提供して欲しい」という顧客ニーズの高まり等を背景に、インターネットを利用したオンライン・バンキングやオンライン証券取引等のサービスを拡大している。この結果、金融機関が利用する情報通信ネットワークは、従来の企業内および業界内に閉じたネットワークからオープンなネットワークに変化しつつあり、金融機関にとっては、取引相手や取引内容の真正性を電子的に確認するために、情報セキュリティ技術を利用することが重要となっている。今後は、デジタル署名、デジタルタイムスタンプ、バイオメトリックスといった新しい認証技術を有効に活用していくことが必要になるものと思われる。
このような問題意識に基づいて開催された今回のシンポジウムでは、金融機関が認証技術を利用して新しい金融サービスを提供する際に必要となる最新技術の動向を紹介する6件の発表が行われた。本稿は、今回のシンポジウムにおける発表、総括、質疑応答の模様を紹介するものである。各発表の基となっている論文は、『金融研究』第19巻別冊第1号(2000年4月)に掲載予定である。
掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。