ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2026-J-8

ユーザブルセキュリティ研究の現状と展望

金岡晃、井上紫織

ユーザブルセキュリティとは、システム利用者の認知や行動特性を踏まえてセキュリティ技術等の実効性を高めることにより、情報および情報システムを不正なアクセス等から保護することである。継続的にセキュリティ事案が発生する中、これを実現する方法や知見を探求することを目的とした研究領域である「ユーザブルセキュリティ研究」の重要性が高まっている。これまでに、利用者認証やアクセス制御といった、情報システムに実装されるセキュリティやプライバシー保護に関する技術要素の実効性を高める観点から、利用者の操作画面や操作手順の設計について研究が進められてきた。さらに、近年では、フィッシング攻撃や偽情報による金融詐欺など、人間の認知や行動特性を悪用した攻撃への対策へと研究対象が拡大している。多様な研究対象に取り組むうえで、適切な研究手法を選択し組み合わせるアプローチが必要なほか、心理学や社会学など多様な学問の知見が求められる。本稿では、こうしたユーザブルセキュリティ研究における手法や具体的な研究事例を解説するとともに、研究の透明性の確保に向けた近年の動向を整理し、今後の研究における課題と方向性を展望する。

キーワード:ユーザブルセキュリティ、ユーザブルプライバシー、量的研究、質的研究、研究の透明性


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